公正証書遺言書の公証人役場での、事前の書類の準備、作成時の立ち合い、私署遺言書の作成の文書の助言を数々行っております。また、事務所の金庫には、これらの遺言書の保管も数々とあります。
相続開始をすると、家庭裁判の検認手続きの申請、立ち合いとお手伝いをしております。
本来は、相続税申告書が仕事ですが、その後の、相続税申告のための戸籍謄本、評価のための資料、土地の現地調査、分割協議書作成、名義変更、相続移転登記等と職務としては多々あります。

事例1
ライオンズクラブで古くからの知人でしたが、公正証書遺言書は自分で用意してありましたが、作成時に遺言執行者への依頼もあり、私がなっており、公正証書遺言書も事務所で保管しておりました。
法定相続人の妹二人いたのですが、不仲であるとの事で、遺言執行者の私に生前から介護施設、病院の入院先からも色々と連絡・相談とあり、最終的には病院からの、遺体引き取り、献体先(遺言書で献体希望)への連絡、市役所の死亡届、火葬許可とすべての事を私が行う事となりました。
本来遺言執行者は、そこまでやることはないのですが、身内が不在、不仲ということで致し方ありませんのでお手伝いはしました。
妹二人の戸籍謄本から、現住所に内容証明郵便で公正証書遺言書のコピー、小関が遺言執行者として就職した内容を郵送しましたが、受取を拒否したか返信になってきました。
亡くなった後は市役所への死亡の届け出、火葬の手続き、献体の手続き、預金解約、保険年金の未収の請求、公共料金の停止手続きと色々とあります。
一番難儀したのは、連絡先の所在が不明でインターネット銀行の解約、携帯電話の解約でした。
公正証書遺言では、財産の預金残高は柏市役所に遺贈する内容なので、遺留分減殺請求があるかもしれないので、相続開始から一年間の消滅時効を待って、その遺贈手続きだけが残っております。

事例2
古くからのクライアントの代表で、親族、両親の相続で遺言書の重要性は経験し、認識していたので、自署遺言書を作成して私の事務所で保管しておりました。
保管者ということで、家庭裁判所の検認の立ち合いは私と法定相続人の息子さんとで行いました。
自署遺言書の内容はご主人が養子でもあり、一人息子の子供にすべての財産を残したいという意思でした。
預金が凍結ロックされているので、預金ロック解除のため、子供がまだ若く金銭の蓄えがなく、移転登記の登録免許税、司法書士の手数料を私が立て替えなければ、金融機関の抵当権の変更、家賃収入の入金もできず先に進めないため私が貸付ての立替金は一時的な処置です。
自分が死んだら、会社の負債、整理に必要な保険契約も契約しておりました。

事例3
この案件は、「後妻業」となるような事件です。
財産の相続目当てで、入籍する女性を後妻業といいますが、入籍した夫の一人息子の母親とも養子縁組をしており、母親は心配して公正証書遺言書で一人っ子の息子に全財産を相続する内容の遺言書を残していましたが、この後妻業の女性は母親とも養子離縁をしていました。
当然、過去に母親の相続でも遺留分減殺請求をしていました。
この夫は、この後妻業と後妻業の連れ子の娘とも、養子縁組させられていたので、この後妻業と娘の親子が旅行に行った隙をみて、私が立ち合いのなか、公正証書遺言書の作成、保管は成功しました。
後妻業の妻は遺言書を残されることを警戒しており、ピリピリ神経質になっていたので私の事務所の金庫で保管しておりました。
遺言書の内容は全財産を被相続人である夫は、自分の甥、姪に遺贈するというものでした。
夫が、入院している時も弁護士と後妻業の女性が病室に訪れ、遺言書があるかを問いただしていたと、病院の看護婦さんから聞きました。
遺言執行者として小関が就職した旨の内容の文書、公正証書遺言書のコピーを内容証明で法定相続人である後妻業の女性と養子縁組した連れ子の娘に郵送連絡しました。
遺言執行者の小関には、返事は当然遺留分減殺請求をするものでした。
この後妻業の女性と弁護士は、相続開始死亡してから、四十九日も経たない、一週間後に、公正証書遺言書の存在を知らなかったので、金融機関、証券会社、収入先の会社に法定相続人として名義変更の手続きに回っていたのです。
葬儀後、香典は全部持ち出して葬儀費用の支払いがないため、遺言執行者の私に葬儀会社から連絡があり請求をしてもらうように伝えました。
この後妻業の女性は、結婚相談所を開催しており、相談のため被相続人の一人息子の夫が行った時に、この後妻業の女性が結婚入籍したとの事でした。
遺贈された甥と姪は関連当事者となるため、同一の弁護士の選任は違反となるので、それぞれの弁護士を選任して対抗しました。
相続税申告は、10ケ月以内に「期限内申告」を甥と姪は、遺留分減殺請求事件の裁判に時間を要するために一旦申告しました。
遺留分減殺請求事件が裁判で結審したので、「更正の請求」をして相続税を還付しました。
税務署は、財産は私の相続税申告で判明しているので、その後の分割で、後妻業、養子は申告すればよいので、手間が省けたものと思っています。

事例4
後夫業(これは夫)と結婚した一人娘の事件ですが、一人娘の父の相続で法定相続人は母親と一人娘の二人でしたがかなりの財産が一人娘は相続しましたが、その後娘の入籍した結婚相手が俗にいう遊び人で、一人娘が先に亡くなり法定相続人は、母と後夫業の夫となりますが、娘が絵画、貴金属等を保管していたため隠していて報告がなく、一部の父からの遺産と娘の預金を引き出して裁判で争っている間に母が亡くなりました。
その後この母の相続も開始しましたが、母の相続財産は、自分の兄弟姉妹か相続されました。

現在、私は遺言執行者として引き受けている一部の案件があり、まだ相続が開始していない案件を抱えていますので、遺言書の保管と託された人より、先に死ねない義務感はあります。
私も死んだあと事は、「なるようになる」と腹をくくっています。
皆様、終活は進めていますか?
近年は、難儀する事としてインターネット銀行の存在、パスワードは誰かに悪用されない範囲で分かるようにしてあげてください。
まだまだ相続に関しては沢山の事例がありますが、欲と銭、紛れの人生よりも、チャプリンの言葉に、結局「人生で必要なものは、勇気と想像力とほんの少しのお金だ」があります。
「子孫に美田」を残しても、怠け者、放蕩息子になるだけです。
被相続人の負債が多い場合には、連帯保証人で甥・姪まで及ぶ場合には「相続の放棄」の手続きもありますので気を付けてください。
必殺遺言執行人で、悪を抹殺できれば痛快なのですが。

令和7年9月30日
小関勝紀