近年は婚姻届けを申請しないで籍を入れない、実質婚の状態であるペア・カップルが多くなりました。また、LGBTといペアも多くいます。
日本国は、戸籍法上婚姻の届け出をしなければ、法定相続人となれず、相続権がなく、相続税法上も配偶者税額軽減、居住用小規模宅地の評価減という適用の利点はありません。
また、所得税法上も配偶者控除の適用もありません。
日本の税法上は、戸籍法上の婚姻届けのされている形式基準で、労働法上に認められる生活を共にしている実質基準という配偶者には適用はありません。
反面、法定相続人となり財産分割を狙って、後妻業といわれるように婚姻届けを申請されて悪用されるケースもあります。
また、外国人と日本国籍のある人が、婚姻届けを申請して外国人の家族を日本に呼び寄せるという違反をしている日本人もいます。

第1の案件
以前から相続税・事業承継の観点から、同じ屋根の下に住んでいる実質婚の状態であつたペアに、籍を入れるようにアドバイスをしていたが、私の懇願にも似た要望からいよいよ籍をいれ夫婦となる決心をしてくれました。
相続税法上は、夫と妻がどちらか先に相続開始(死亡)しても配偶者税額軽減、小規模宅地評価減の適用を受けられるので相続税が軽減される事、又自社株をどちらが先に相続開始(死亡)しても、親族で維持できるので一安心できます。

第2の案件
離婚で争っていた夫婦が、裁判で正式に離婚が成立し慰謝料も確定していた夫が、一か月後に慰謝料の債務履行しないまま相続開始(死亡)しました。
離婚成立しているので父には慰謝料は発生していたが、妻には相続権はなくなります。
法定相続人である、子供が慰謝料を債務として、法定相続人の子供から母に支払いが発生しました。法定相続人の子供は相続税の計算では、慰謝料は債務控除にはなりますが、法定相続人の子供が現金で支払いできる金額ではありません。
自社経営の自社株の現物で慰謝料の債務を履行することとなりました。さらに多額の相続税も十年間の年賦延納を申請することとなりました。もし、離婚をしていなければこのような苦労はしなくてもよかったかどうかはわかりません。
もし、離婚していなければ配偶者の税額軽減、小規模宅地評価減の適用が適用され、相続税がが軽減されたのにと第三者は思いますが、当事者は憎悪で妥協できなかったのでしょう。

第3の案件
長い期間、別居生活の状態で、相続開始をしたが、戸籍法上は配偶者で有ったので、配偶者の税額軽減の適用があり又法定相続人の子供が多く基礎控除が多く控除され、相続税が軽減されました。相続税の税務調査があり、調査官に「家に帰って来たときには、骨になって帰って来た」という言葉には笑えませんでした。

第4の案件
後妻業目的で籍を入れ、夫とは連れ子を養子縁組して、且つ又夫の母とも養子縁組をして相続財産目当てに結婚しましたが、危機を感じた夫から相談があり、後妻業目的の妻の不在中に公正証書遺言で他の人に遺贈する内容のものでしたが、遺言執行者が私であったので、遺留分減殺請求事件で大変な労力を要した案件もありました。

第5の案件
結婚、離婚、復縁と繰り返した夫婦もありました。
離婚の慰謝料で財産を亡くして、復縁して会社の財産を横領され、相続開始して相続財産として財産を分与して財産を失った夫がいましたが、籍さえ入れてなければ悲劇が生まれなかったかもしれません。

第6の案件
父の相続で相続財産を取得した娘が、財産目的で結婚して籍をいた夫は、妻である娘の相続が開始しましたが、法定相続人は母とその夫です。父の財産を娘が管理していたが、この夫が財産を隠蔽、夫の自分の借金返済に充てたりしたので母は夫を訴え訴訟となりましたが、訴訟裁判中に母の相続が開始することとなりました。後妻業とは、後夫業もあります。
財産のある方は心配です。

第7の案件
離婚が成立して、夫から妻に慰謝料として不動産を差し上げた場合、不動産を差し出した方がみなし譲渡課税として所得税が課税されます。土地の現物を慰謝料として贈与するは、所得税の負担はするはで踏んだり蹴ったりです。このみなし譲渡課税は、いったん譲渡した金銭を慰謝料として支払ったという取り扱いです。金銭での慰謝料の支払いは、どんなに高額でも贈与税は非課税です。
その後夫の相続が開始しましたが、一部不動産の移転登記していなかった物件があり、先妻の法定相続人と後妻との移転登記しないまま後妻の相続が開始しましたが、先妻の子供と後妻の子供との分割協議書かなされないまま、保留になり困っております。

第8の案件
共有名義の土地・建物を所有していた夫婦が離婚した場合に、どちらかに一方の、離婚の慰謝料の代替として土地・建物を贈与すると、所得税の、みなし譲渡課税されるので、また戸籍法上の配偶者では、所得税の居住用不動産の3000万円控除の適用がないため、離婚後に買い上げて3000万円控除を適用したというケースがありました。

妻を支えて妻頼らず、夫を支えて夫頼らず。近づいて、離れず三メートルの思いやり。
愛が強ければ、どちらか伴侶を亡くした時の落胆はすごいものです。
愛が強ければ、憎しみは増します。
金の切れ目が縁の切れ目です。

令和7年11月30日
小関勝紀