利他の精神 徳を積む
明けましてお目出とうございます。
この頃、人様に「徳」を積んでいますかとか、「徳」を積んでくださいとか、偉そうに話している自分がいることに気が付いたのです。
また、法話を聞いた言葉に「自利利他」があり、「徳」という言葉が気になり意識することもありました。
仏陀(ブッダ)の教えに「徳を積むほど、地獄を見る」とか、「徳の高い人こそ、孤独になる」とかの相反する矛盾を聞いたりもしました。
先日、出身学校に寄付をしたら、ホテルオークラで感謝の集いに出席して、これも「徳」を積んだことになるのかなとも考えたりしていたものですから。
「体に栄養」、「頭に知識」、「心に徳」という言葉も聞いたので、徳が気になりました。
自分の事ばかり考え、行動している者がなんと多いことかと、思っていたからです。
努力は報われないと思うかもしれないが、後世には必ず報われると確信しています。また、見返りを求めない善い行いの徳を積んでいると、人間関係が豊かになる可能性が高まり、困ったときに、人から手を差し伸べられると思っています。
「徳」という漢字を分解すると、素直な心で行うという意味です。
ことわざに「陰徳あれば陽報あり」という言葉は、中国の思想書「淮南子(えなんじ)」によるものですが、人知れず徳を積めば、必ず良い知らせがあり、陰ながら良い行いをする人は必ず名誉が得られるとのことです。
「徳」には、「陽徳」と「陰徳」の二つのタイプがあります。「陽徳」とは良い行いを人に直接感謝され、人に知れ渡ることで、「陰徳」とは相手からの見返りや礼を求めない良い行いですが、「徳を積む」は「陰徳」に近いもので、孫の代まで続く「徳」と言われています。
先日、共通のある故人の話題で、今になって感じることは、「陰徳」を積んでいた人でしたという事になり、「人は一代、名は末代」というが、まさにそのような人と感じました。
エセ(似非)徳、ニセ(偽)徳もありますが、徳のある人は、自分の不徳を反省するものです。
今回の衆議院議員選挙で落選した人は「私の不徳の致すところです」と弁明していましが皆様の富徳(ふとく)で当選できましたと報告するような人物でありたいものです。
徳をつむと利他とは、同義語であると感じています。
「利他」とは、自分のことは後回しにして、目の前の相手や周りの人のために、相手を優先して自らが何かをしていこうとする心がけの事です。
「自利利他(じりりた」」とは、仏教用語で「自らの仏道修行により得た功徳を、自分が受け取るとともに、他のためにも仏法の利益をはかる」という意味とある。
最澄のことばに、「忘己利他(もうこりた)」とありますが、自分を忘れて他者の幸せのために尽力することが、慈悲の究極のすがたであると説いています。
空海の人生の言葉には、いろいろありますが、ひとつに「正しい心のはたらきは、他人の利益を先にして、自分の利益を後にすることです。」、ともう一つは「悪運は切ることです。注1」とあります。
住友グループの会社語録に「自利利他公私一如」がある、「公」に思えることも「私」に通じ、この二つは相反せず一つのものであるという意味とある。「自利一如」とも言われる。
「徳」は、「得」に繋がるものと思っております。そして損得勘定のない日々を過ごすことです。
運も味方につけるとは、何もしないで運はない。走り続ければいいパスが来る。
本気でやれば、何でもできる。本気でやれば、誰かが助けてくれる。本気でやれば、何でも楽しい。
蕎麦屋で京都龍安寺にある、「吾唯足知」、「われ、ただ足(た)るを知る」という置物があったので思い出した。真ん中に口という字に、口を組み合わせた4文字の水桶です。
この水桶のロゴマークは、高知県にある司牡丹という純米大吟醸というラベルのお酒もあります。
釈迦(=ブッダ)が説かれた教えであるが意味は足ることを知る人は、心穏やかであり、足ることを知らない人は、心はいつも乱れているということです。
また老子の教えに「足るを知る者は富者、欲に迷う者は貧者」という言葉があるが、意味は満足することを知っている者は、たとえ貧しくとも精神的には豊かで、幸福であるということです。
満足という字は、足るが満ち足りということです。
欲、金に紛(まみ)れているこの時代には、考えさせられる先人の教えです。
財産をもって死んでいけないし、財産を残しても相続税で国に没収されるのですから、寄付、遺贈して徳を積みましょう。
積極的に足を運んで、他人には足を引っ張られることがなく、未知への分野には足を踏み入れて満足のいく人生でありたいものです。
令和6年12月31日
小関勝紀
注1
空海の縁を切ると運気が上がる人の特徴 内面を見直すことを重視した
1.本心を見失うならその関係は手放すべきだ 意見の言えないなら距離を取れ
2.悪縁は迷いを生む 悪縁とは己を惑わすものとネガティブな運気がさがるエネルギーを奪い存在とは決別すべき
- 智慧を閉ざす者とは語るなかれ 学ぶ心のない者との交わり成長を止める 挑戦や知識を否定する人とは縁を切るべきだ
4.執着は苦を生む 執着は心の平穏を乱す 執着して時間や幸せを犠牲にしているなら悪縁だ 関係を手放せば新たなチャンスが訪れる
5.共に進む心があるか 人間関係は共に向上するためにあり、高め合いない関係、利益のみを求める相手とは縁を切るべきだ